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by kodaira220

俳句アラカルト

 

  俳句アラカルト 清 水 弘 一


ひたすらに俳句の道や青田風  
菊地緋沙
2019-18

山前俳句会の講師 久保田豊秋氏が逝去され
7月31日の通夜の昼間の俳句会に出された
追悼句である。
肺癌の闘病生活をされながらも、足利市で
主宰をされている「楷樹」の例会は無論の
こと、市内の各地区で依頼があれば出張句会を
されて居られた。

呼吸困難で声が出しにくく、耳も少し遠くな
り, 最近数カ月は車椅子での参加となったが

亡くなる三ヵ月前まで各句会に出席され指導
された。

家業の煎餅を家族と一緒に焼き続け、多忙を
極める8月・12月以外はどの句会も精勤さ
れる俳句道一筋の人生で、まさに ひたすら
に歩まれた俳句の道であられた。

豊秋氏の俳句は淡々とした自然詠の俳句で
あったが、氏ならではの目に映るものに対す
る慈愛が溢れ読み手にしみじみとした感動を
伝えた。


ご母堂も俳人であったとお聞きするので、
薫陶養育の様子が偲ばれる。
あれもこれも教えて頂ければ良かったと思う
のは後ろ髪を引かれる凡人の宿命である。

結句の「青田風」は土用前後の稲が青々と
茂っている田に吹く風のことであるが、師の
生き方そのものが混じりけのない青田を過ぎ
ゆく清々しい風を連想させる。

その他 追悼句の中から二首

水晶の数珠に涙や夏(はぶ)り   横山恵美子

()安居(あんご)や求道に迷いなかりけり 清水弘一

了。







by kodaira220 | 2019-08-14 17:56 | 俳句