俳句アラカルト
2019年 06月 02日
俳句アラカルト 清 水 弘 一
かたばみに空をあおげと励まされ
岩田美夏 あぽあん 5月句会 2019-15
「かたばみ」の兼題が出されました。
カタバミ草は繁殖力旺盛なクローバーの仲間
野原や田舎のあぜ道などで簡単に見つける
ことができる三つ葉で黄色の花を持ち極めて
強靭な野草です。
この草の歴史は古く西洋では、三つ葉が「三
位一体」に通じることから、花言葉は「喜び」
[母のやさしさ」など素敵な意味が込められて
います。
日本では、かたばみの葉の紋様が均整がとれ
て美しいことと、かたばみ草の繁殖力旺盛で
あることから子孫繁栄の願いの家紋として
使われています。
この様なことから、俳句では「群れるとか、
星の絨毯とか、強く生きている」とか作り
がちでありますが、作者は全く違う視点から
かたばみを句に仕立てました。
かたばみは草自体も横溢たる生命力を維持
しておりますので、人間あるいはその他の
動物に当てはまると思われますが、草自体
が天を向き、天を仰いで咲いておりますの
で見るもの全てに空を仰げと励ましている
と断じます。
坂本九ちゃんが 見上げてごらん空の星を!
とささやき、大きな声で歌っている様に
とらえました。かたばみは自分自身が元気で
ありますので、全ての人や動物たちに元気を
分かち合っていると創りました。
かたばみの兼題が喜んでおります。句作りに
豊かな発想が投入されますとこの様に素敵な
句ができます。人も自分も元気になれる
この様な句を創りたくなって参ります。
了。