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by kodaira220

俳句アラカルト


 俳句アラカルト 清 水 弘 一

黄落の草木の機序に学ばむと 
ひでみ 

ぽあん青山 10月句会  2018-27


鑁阿寺(ばんなじ)という鎌倉初期の木造建造物(国宝)
足利市にあります。

樹齢600年の銀杏の大樹があり毎年見惚れる
様な黄金色の葉を茂らせ
参拝者を楽しませ
ます。

箱根や尾瀬ヶ原の草原では草草の群れが紅色
や黄褐色に色ずき瑞穂の秋を彩ります。

揚句の作者は樹木や草達の紅葉の美しさを
詠むのではなく、紅葉の美しさの仕組みや
素性そのものに思いをめぐらせます。

秋になると紅葉を()でるのは自然を愛する
民族の美意識に思いをはせておりましたが、
作者は紅葉の機序こそ学ぶべきことがある
示唆しております。

機序とは「紅葉の仕組み」だけに言及して
いないことに気付きます。紅葉の仕組み
という事象を通じて、自然界の草木の役割
や恩恵は言うに及ばず、地球や宇宙 
そして生命の根源にまで感動を伝えたかっ
たと思わざるを得ません。

機序に学ばむとは、単に俳句や短歌を作る
ばかりでなく、不断の精神の修養の大切さ
をそっと伝え気付かさせてくれます。

散策の途中で、草木の紅葉や自然の移り変わ
りに眼を向けることと同時に自然界の機序、
惹いては歴史観や、世界の政治や経済の動き
にまで目を向けることを勧めて居られると
感じます。

あたりまえに見過ごしてしまう事をしっかりと
見据えた作者の観察眼の素晴らしさに共感し、
俳句の奥深さを感じます。  了。





by kodaira220 | 2018-11-10 05:12 | 俳句