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バック・パッカーの一人旅をお勧めします。


by kodaira220

俳句アラカルト

俳句アラカルト   清 水 弘 一




ふるさと  岡本久一

漁夫の血はわれにも流れ春の海



春の海を見ていると、海中深く潜って魚や貝

を取った昔が思い出される。又、海洋に出て

巨大なカジキマグロを釣りたいとの衝動にも

かられる。

私には漁夫の血が流れていると思われて

ならない。穏やかな春の海は私に

「人間のルーツは何か」と海洋民族の

いにしえの血がささやきかけて来る。

ただの棒客観写生のつくしんぼ



客観写生は正岡子規が唱えた「写生論」を

虚子なりに発展させた俳句の要諦である。

俳句は短いため事物を見たまま報告するの

ではなく、自然を具体的に描写し的確に

伝える意思である。

「去年今年つらぬく棒のごときもの」の

句は高名であるが、つくしんぼ程の句と

の疑念が起こる。


一万年気長に待てば亀の鳴く



鶴は千年亀は万年の長寿を祝う。誰も

亀が鳴く声を聞いていないが、世界七大文明

の一つ、縄文時代の一万年程の期間であれば

、どなたかが聞いた可能性がある。

一万年を待つ心の持ち様があれば、長寿の

ンボルである亀は鳴いてくれるであろう。


補聴器をつけて蚯蚓の本音聴く



補聴器は音を増幅して聞こえやすくする。

その補聴器をつければ蚯蚓のうったえも聞く

ことが出来るであろう。人間の聴診器は人間

の胸に当てるが、みみずのどこに当てれば

よいであろうか?

本音を聞くためには「虎穴に入らずんば

虎子を得ず」のことわざがあるのだが・・・。



留守と言へ鯨を釣りに行ったと言へ


嘘とホラの極致かと存じます。自称勇壮な

漁夫である久一氏の心意気と思うと、にわか

現実味を帯びて参ります。このセリフを

言えるのは、ヘミングウェイと開高健と

岡本久一の三氏に限られるでしょう。

それにしても胸のすく爽快感があります。

さて、それを聞いた奥様は?


ふるさとは戦艦大和という海鼠



一様にある故郷。沖縄や北海道が良いという

つもりはありません。海鼠の自慢の種はサン

ゴ礁の海か戦艦大和が横たわる海底なので

しょう。

ところで、海鼠は赤が良いとか、青が良い

とか言いますが、私は戦艦大和ほどもある

海鼠の「このわた(海鼠腸)」や海鼠んこ

お目にかかりたいと念じています。

16句中の6句を掲載したが、久一氏の俳句

コロナウイルスの様に人間好きである。

気が付くと、肺や呼吸機能にまで息吹が

広がっている。それがまた心地よい陶酔感

を呼び起こす。

かるみや俳諧味という言葉で一括り出来な

い、一種の聖域=久一ワールドにはまり

込んでしまう。

酒仙のような久一先輩は久米の仙人の

DNAを隠し持っているに違いない。了。






       


# by kodaira220 | 2021-03-25 20:12 | 俳句

俳句アラカルト



俳句アラカルト  清 水 弘 一



ふるさと 岡 本 久 一



漁夫の血はわれにも流れ春の湖


春の海を見ていると、海中深く潜って魚や貝
を採った昔が思い出される。海洋に出て巨大
なカジキマグロを釣りたい衝動にかられる。
漁夫の血が流れていると思われてならない。
おだやかな春の海が血のルーツを問う。


ただの棒客観写生のつくしんぼ



客観写生は正岡子規が唱えた写生論を虚子が
発展させた俳句の要諦である。短い俳句は自
然を具体的に描写し的確に伝える意思である
虚子のつらぬく棒のごときものは高名である
が、つくしんぼ程の句との疑念も織り込む。


一万年気長に待てば亀の鳴く


鶴は千年、亀は一万年の長寿を祝う。
誰も亀が鳴く声を聞いていないが、縄文時代
一万年の期間であれば何方かが聞いた可能性
がある。気持ちの持ち様があれば長寿のシン
ボルの鳴いてくれるであろう。



補聴器をつけて蚯蚓の本音聴く


補聴器は音を増幅して聞こえやすくする。
人間の聴診器は胸に当てるが、みみずはどこ
に当てれば良いであろうか? 本音を聞くた
めには虎穴に入らざれば虎子を得ずの諺が
あるのだが・・・。



留守と言へえ鯨を釣りに行ったと言へ


嘘とホラの極致かと存じますが。自称勇壮な
漁夫の久一氏の心意気と思うと現実味を帯び
ます。このセリフを言えるのは、ヘミングウ
ェイと開高健と岡本久一の三氏に限られる。
爽快感のある句であるが、さて、奥様は?



ふるさとは戦艦大和という海鼠


一様にある故郷。北海道や沖縄が良いと言う
つもりはありません。なまこの自慢の種は
サンゴ礁の海か、戦艦大和の海底かなので
しょう。私は戦艦大和ほどもあるこのわた
(海鼠腸)やきんこにお目にかかりたい。



贈られてきた四季俳句の16句から6句抜粋。
久一俳句はコロナウイルスの様に人間好き
である。気が付くと、肺や呼吸機能にまで息
吹が広がっている。それがまた心地よい陶酔
感を呼び起こす。かるみや俳諧味という言葉
で一括りできない、一種の聖域にはまり込む
酒仙のような久一氏は久米の仙人のDNAを
隠し持っているに違いない。 了。
























# by kodaira220 | 2021-03-12 20:44 | 俳句

俳句アラカルト



俳句アラカルト  清 水 弘 一



聴色春は君子に目もくれず  彼得(ペトロ)



(ゆるし)(いろ)とは、紅花で染められた淡い紅色

のことだそうです。

紅花は最上川の流域で採取される菊科の

花で、抽出されて高価な織物の染料や、

口紅に使われ神秘な色となります。



紅花で染められた紅色は世界のどの染料

や顔料にもまさる高貴な色合いです。

ゆるし色とは、極限の薄い紅色、日本人

の美的色彩感覚のみが表現し得たものと

思います。



ボッティチェリに代表される春のニンフは

人間に等しく春を届けると思われますが、

その春の女神は君子に代表される高貴な人

高位の人には目もくれない、と断定します。




君子という尺度を離れ、人間の本性や宇宙の

根源にせまる生命の歓喜にまで思いを寄せ

ます。


伝えたいことを言いきり相手を説得する表現

力が、この句の潔さにつながっています。

卑近な例では、リンカーンの「ゲティスバー

グ演説」やサミエルウルマンの「青春の

詩」に匹敵する精神性を歌い上げます。 

魂をゆり動かす一句です。 了。







# by kodaira220 | 2021-03-08 08:19 | 俳句

俳句アラカルト



 俳句アラカルト  清 水 弘 一


啓蟄やヒトは穴から出られない   桑子陽子

冬ごもりの虫が這い出る季節到来である。

一方、自粛中の人間は所要の上京や高齢の

両親への訪問も出来かねている。

友人や仲間とのサークル活動も

ままならない。

虫から見ると人間は何と融通の利かない生き

と思われているかも知れない。

裏山が火事煙る風ハラハラと 吉澤菊男

足利市両崖山の山火事は221日から

天狗山方面にまで広がり稜線から、

燃え広がる。作者の自宅から至近距離の

現場を体感したまま即吟にしたてる。

家族や友人にとっても忘れられない臨場感

一句から味わう。放映を見た方々も早期の

収束をひたすら願っている。

ひよどりの(はし)接吻(くちづけ) 紅椿   横山恵美子


は野鳥にとって恋の季節である。スズメや

ジョウビタキなどが訪れるが庭や市街地の

王者はひよどりである。

大輪の紅椿の艶やかな中、恋を語らい嘴を

寄せ合う。春の到来と恋の成就を告げて

いる。 ピイーヨピイーヨと鳴く。

しじみ貝塚縄文一万六千年  清水弘一

 青森県大平山元Ⅰ遺跡の無紋土器は1万6千

3百年前と測定される。

その後各地から同時代の縄文土器が多数出土

している。調理の痕跡があり、醸すことも

出来るグルメであることが分かりました。

世界4大文明の発祥の源は縄文人であった

可能性が出てきました。





# by kodaira220 | 2021-02-26 20:46 | 俳句

俳句アラカルト



俳句アラカルト 
清 水 弘 一


 箱の中河豚の初競り飛び跳ねり ヒロ子


河豚の初競りは本場下関市。三津五郎丈なら

周防灘や伊予灘が極上と言うであろう。

従来は木製であったトロ箱、今は多くは発泡

スチロール製となった。その中を縦横に飛び

跳ねる。


味は申すまでもなく、福に通じることから

年の門出にふさわしく至福の極みである。


来し方を話せる句友老いの春  茂木喜子


老いはみんなに訪れるけど、成長は望んだ人

にしか訪れないと言われる。

老いの感じ方も十人十色、絵画やコーラス

など長く趣味を共有した友に恵まれた作者の

幸せな人生を思い描く。老いの春として見つ

める生き方に清々しさを感じ取る。


     

初詣大吉札が孫の手に  吉澤菊男


新年最初の寺社詣でをすると、身も心も清々

しい荘厳さを味わうことが出来る。

大吉札を引き当てた孫の笑顔に大きな成長

が予感される。令和三年も、争いの絶え

ない世界情勢の中、平和な日本に生まれて

本当に良かったと感謝の想いにひたる。

水餅に手ごろな甕を洗ひけり 吉田くら


お正月の餅はやがて硬くなり黴を生じる、

それを避ける為に水に漬ける。

何事も用意周到、日々の暮らしは一歩先

読んで準備する生活の知恵である。

食物を大切に扱う心、清潔好きで家族を

慈しむ心意気が読み手をも豊かにする。 

了。





# by kodaira220 | 2021-02-21 20:42 | 俳句