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by kodaira220

俳句アラカルト



   俳句アラカルト  清 水 弘 一


太陽の目玉とうもろこしはじける  
小川葉子

- 多摩のあけぼの 創立三十周年記念句集より -   2017-36



とうもろこしは太陽から生まれた様な黄金色
をし、元気を発散している。

太陽神と言うとエジプトの古王朝とマヤや
インカに思い至る。
日本でも

(あま)(てらす)大神(おおみかみ)は太陽を人格化した神である。

マヤの暦は紀元前数百年の時点で略完成され、
以後メゾ・アメリカの各地各時代に使われ続け
た。メキシコ国立自治大学の校舎全面にモザイ
クの壁画 フォアン・オゴルマン作では太陽神
が今でも輝いている。

とうもろこしと太陽神と言えば、インカに集約
される。インカの王は太陽の子と言われ、クス
コには太陽神殿(コリカンチャ)がある。
壁には
20cm以上の金の帯が付けられ、金で
おおわれた太陽の祭壇があり、陽の光りを受
けて輝いていたと言う。月の神を祭る銀の間も
隣接する。

古代アンデスの神話によれば、トウモロコシを
この世にもたらしたのはインカの妻である
ママ・ワコだとされる。
大貫良夫監修「インカ帝国」よりー。

3000m以上の段々畑(アンディネス)ではジャ
ガイモ、
3000m以下ではトウモロコシが作られ
た。トウモロコシは主食であり、チチャ酒
(主にとうもろこしから)も作られる。

以上の様なことに思いをはせると太陽の目玉が
トウモロコシであったと納得するに至る。
インカが創りだしたトウモロコシとジャガイモ
がなかりせば
,地球上に70億もの人間は狭い
地球に生存出来なかったことは明白である。

エジプト人のビール、ローマ人のワイン、
インカ人のチチャ酒、日中韓の酒がなければ
人間はこれ程幸せで勤勉であったか否かと
思いめぐらせる。

太陽の目玉とうもろこしはじける とは採り
たて・茹でたて・焼きたての観察からの印象
を詠んだと思われるが、太陽とトウモロコ
シの取り合わせはインカの太陽神信仰と
トウモロコシの誕生が念頭になければ発想
できない感覚である。


ディエゴ・リベラ、ピカソ、岡本太郎と同じ
画家の目玉を持っている俳人かも知れない。 
太陽にトウモロコシはよく似合う    了。






by kodaira220 | 2017-07-19 14:52 | 俳句