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バック・パッカーの一人旅をお勧めします。


by kodaira220

ニュージーランド周遊

  


     ホエール・ウォツチング

     カイコウラ・ピクトン行のバスに乗る。 小柄な日本のお嬢さんが大きな旅行カバン
     を持って乗り込んできた。モエツカ村へ果実のパック作業の仕事に行くところだと
     言う。 都会でなく、村に行くのはお金を使うところがなくそっくり貯金できるからで、
     その貯金を持って次の旅に出ると言われる。一年の就労ビザや語学研修に来る
     日本の若者にお目にかかるが、彼・彼女達の瞳は輝きしっかりした目的意識に
     何時も関心させられる。

     カイコウラ湾の海岸に出ると砂浜でなく、おはじき大の黒い小石が何層にも堆積
     して波打ち際を埋め尽くす。 波は動きを感じさせない程穏やかである。
     岸辺のほんの数メートルにだけ波の緩慢な満ち干が起こり、小石のこすれる音が
     擬音の大粒の雨音をかなでる。

     二日間の滞在予定なので、今日の午後か明日のホエール・ウォッチングに適した
     時間帯を訊ねた結果、明朝9時のクルーズを予約する。 数十分後、クルーズの
     案内所から宿に電話があり、今日は波も穏やかで絶好のウォッチング日和なので
     今日の午後を薦めるとの返事であった。駅の側の案内所はりっぱで、駅が間借り
     している感じであった。

     鏡のような凪の海面で、山並みに囲まれた広々とした湾に居ることを認識する。
     最新のタカマラン双胴船でソナーが装備され、大きなスクリーンに海上安全の
     通達事項や 深い海溝や暖流と寒流が合わさる海流のシュミレーション等が
     映し出される。沖から見渡すと、雪を頂く峰峰がカイコウラ湾を取り囲んでいる。
     白雪を頂く 銀嶺の立山連峰を望む富山湾のイメージが重なる。

     二十分も走るとソナーで連絡を取り合った観光船がマッコウクジラの居所を捉える。
     カタマランが数隻集まって来て、並走する。潮吹きの様子に闇雲にシャッターを
     押していたが、数えると18秒前後の周期で塩を吹いていることが分かった。
     15 16 17 と数えてシャッターを押すと潮吹きのタイミングとピタリ合った。

     
ニュージーランド周遊_f0298030_9292664.jpg


     次に尾を出して潜るタイミングであるが、これも潮吹きのタイミングの計り方と同じ
     方法でシャッターを押すことが出来た。 海面を小さなヒレが走ったと見ると次の
     瞬間にはイルカが一斉に船の周りに集まってくる。 イルカの群れに囲まれた船は
     エンジンを止める。 縦横無尽に泳ぎ、身をひるがえし海面上に現れる。

     一頭がジャンプして海面から大きく躍り出ると、それが合図なのか、群れの中の
     イルカがジャンプやスピンを行う。他の群れのイルカも次々にソロのスピンを行う
     もの、難度の高いスピンを披露するもの、デユエットやティームでのシンクロの競演
     も始まる。競泳のスピードは速く、その躍動美にしばし息み喝采を送った。

     太平洋の海原に繰り広げられたイルカのショウであった。持てる演技を全て終了
     したのか、少しづつ船から遠ざかり始めると視界から消え去って行った。
     200頭を超すダスキー・ヂルフィンとの出会いは一方的に挨拶を受け、ショウを
     見学して元気を頂くひと時であった。

     この観光船の案内所も観光船の関係者もマオリの人達が運営する会社で、
     彼らが海に似合う民族であることがわかる。
     流れ作業の如くに、観光客40人をバスに乗せ、観光船に運び、鯨・イルカ・
     アザラシ・海鳥等を手に取る様に見せる3時間のショウは130ドルであった。

     カイコウラの早朝 太平洋の水平線が赤・橙・白のトウザン縞の帯を重ねた凝縮
     した表情を見せ、日の出の幕を開ける。帯の色は礼文島の板粒ウニに似る。
     カイコウラ半島を散策すると大量のコンブが岩に打ち付けられ洗われている。
     ここの名物イセエビがよく取れるのは、良質の昆布のお蔭であろう。

     日本宛てに郵便物を送ろうと郵便局を訪れると、郵便局は田舎の普通の
     小売店を間借りしている。 その隣は銀行業務を行っており、外の道路側には
     現金引出機。 インターネットはどのホテルでも常設で、ネットの店は市内の
     いたるところにある。葉書は大小問わず1.5ドル。 封書は大きさではなく、
     重さ80gまでは2ドル。従って、到着時に切手を買っておけば、大きさに
     とらわれることなく、何処からでも簡単に絵葉書や封書を投函できる。了。
              -ピクトンでのカヤック初体験ー に続く

     
by kodaira220 | 2014-04-18 10:08 |