バック・パッカーの一人旅をお勧めします。


by kodaira220

俳句アラカルト

  

  俳句アラカルト  清 水 弘 一



 薔薇の字のほぐるるようにバラひらく   中山遊香

  -多摩のあけぼの 創立三十周年記念句集より -   2017-25



バラの季節の吟行で、投句を清書する機会がありました。

どの短冊にも漢字で薔薇の字が書かれていましたので、
バラは好きですが漢字の薔薇には会いたいと思わなく
なりました。



薔薇の字は楷書で書かれます、楷書から行書にそして草書
にと字はほぐれて行きます。ほぐるるようにバラひらく
のはこの逆で、草書から行書もしくは楷書へと力強さを
増してゆきます。



西洋に「バラの樹の下では嘘をつかない」ということわざ
があるそうです。
11世紀以降ロマネスク様式から
ゴシック様式の建築の発展と共に円形のステンドグラスの
バラ窓が造られています。

大聖堂や教会では可能な限り大きなバラ窓が造られている
のはこの諺の意味も加味されてキリスト教の権威を高めて
いるのかも知れません。



日本人なら、さしずめ「桜や梅の花の下では嘘をつかない」
とするとこの諺がずっと身近な言葉になります。
桜や梅に関する和歌や俳句や詩の数々は日本人の
DNAに投射されておりますので。



作者は西洋育ちのバラを日本独自の薔薇としてとらえ、
漢字の絵解きとしてバラのひらく様子を描写し豊かな
連想を伝えてくれます。



楷書と言いますと孔子廟の「楷の木」に思い至ります。
日本では孔子ゆかりの
史跡足利学校や湯島天神・閑谷(しずたに)
足利学校学校門扁額
学者来日
文字読み取楷書



薔薇の書は今まで見たことがありませんが、美しいバラを
見るたびに薔薇の字がほぐれる様にひらく様子を観察したい
と思い定めています。
日本的にバラの花を観る視点を
教えて頂き、また一つ楽しみが増えました。   了。






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# by kodaira220 | 2017-04-23 08:55 | 俳句 | Comments(2)

俳句アラカルト




   俳句アラカルト  清 水 弘 一



蕗茹でる天国へ行く待ち時間  浅見玲子
 -多摩のあけぼの 創立三十周年記念句集より -   2017-24

蕗は夏の季語ですが、蕗のとうのとう立ちが始まりますと
数ミリから数センチの蕗の葉が地上に出てきます。

春半ばサクラの花の下の地表に顔を出した蕗が20cm程に
成長したものを切り取って葉と茎を切り離し、時間差で湯に
くぐらせます。葉の早(さ)緑(みどり)色が新緑の緑に、
茎は翡翠(ひすい)色に変り眼福(がんぷく)と同時に爽(さわ)やかな
早春の味を堪能できます。草食の動物にとって新芽や若葉は
えぐみも少なく植物の命を頂く果報となります。

五月初めになりますと蕗の茎は太く長く、葉は大きくなります。
茎はさっと茹でて、皮を剥き筍や鰹と炊き合わせます。
採りたてに塩をまぶしまな板の上でごろごろ転がさなくとも
簡単に皮を剥きやすくなっています。

蕗の葉を湯がいて水に二度程さらし、一センチ角に切り水気を
絞り、ゴマ油炒めにします。ジャコを入れても良し、
桜エビを入れても良し、何も加えないのも良し。
少し苦味がありますので茎よりも葉の方が左党(お酒好き)
には喜ばれたりします。

蕗の季節になると、大好きだったご主人が
偲ばれます。蕗を食べる所作や嬉しそうな顔、晩酌のお酒にぴったり
の酒の肴です。鰹や鮪と炊き合わせても喜び、伽羅蕗にしても喜んで
くれました。

ご主人が好きだった蕗をどんな料理にするか ゴマ油で炒めて甘辛く
煮ても良し、茅の舎の野菜だしで京風に仕上げるのもいいな!。

酒の肴が美味し過ぎて飲み過ぎにだけは注意しようと思っています。
天国までの待ち時間と思うと、蕗を炊き合わせるのも楽しくなります。

古伊万里の赤絵の大鉢に盛りつけることだけは決まっております。 
了。
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# by kodaira220 | 2017-04-11 14:21 | 俳句 | Comments(2)

俳句アラカルト



俳句アラカルト   清 水 弘 一


五位鷺の一本足の花見かな  根岸敏三
 -多摩のあけぼの 創立三十周年記念句集より -   2017-23


上野の山の桜は4月2日満開となり、多くの花見客で
にぎわった。日本人は桜の花が大好きで靖国神社の
標本木での開花宣言は都民ならず、全国の桜好きが
注目しております。

今年度は東京が全国に先駆けて、開花宣言を行い満開の
宣言ともなった。房総や南国土佐や宮崎でなく東京都が
一番とは奇妙な感じがするが事実で有るらしい。

農耕民族である日本人にとって、桜や菜の花の開花は種まき
などの農作業をとり行う重要な目安ともなり豊作の予兆や
祈願も合わさり目出度い花でもある。

数年前、井の頭公園の桜の時期に五位鷺が池にせり出した
枝の中にひそんで魚を狙っているのに遭遇した。
カラスより大きめで首や手足も長い。
腹は純白で背中の羽根は空色から藍色の色合いであった。

ご近所の年配のおじさんが、あれは五位鷺で鳥で一番偉い
のですよと嬉しそうにささやいてくれた。
五位の位と言えば殿上人ですから、貴族であり殿上で
歌を詠むことも出来る高位であります。

因みに戦国武将の真田幸村は従五位下左衛門佐でしたから
位だけなら五位鷺が上位となります。
この五位は醍醐天皇の命令ですから、鳥で一番偉いとの
説明は正しいことになります。

五位鷺は確かに一本足を折り曲げて、何時でも獲物に
飛翔できるように樹幹にたたずんでおりました。

五位鷺は獲物を獲る合間に池面にせり出した桜を愛でて
いたのだと教えて頂きました。
俳人の視点はユニークでユーモラスです。  了。



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# by kodaira220 | 2017-04-04 21:02 | 俳句 | Comments(2)

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俳句アラカルト  清 水 弘 一


白木蓮(はくれん)の花弁美(は)し一枚はマスク  三木冬子
 -多摩のあけぼの 創立三十周年記念句集より -   2017-22

東京で桜の花の開花宣言がありましたが、白木蓮も
美しく咲いております。広い庭に植えるのに適して
いますが、庭の主木として庭造りをされる方は少なく、
主木を補助する中木として、白木蓮の花を愛でます。

白木蓮が白く燃え立つように、上向きに咲いている
景観は実に見事ですが、作者は白木蓮の花弁に着目し、
特に美しいと讃(たた)えています。 

蓮の花を図案化した様な形状の白い花ですから、
白木蓮と命名されたのか? と思います。
泰山木(たいさんぼく)の白い花は蓮の花ぐらいの
大きさに咲きますが、蓮の字は使われていないこと
が不思議に感じられます。 

美しい花弁一枚をマスクにするとおっしゃるので、
咲いている花弁を一枚、また一枚と手折りマスクの
様に鼻と口にかざし、息を吸い込みました。 

お香の薫りの様なやさしい、はかなげな薫りが
感じられます。少し時を置いて、嗅ぎますと匂い
が強くなっておりました。

手の届かない大木となりますので、白木蓮の花を
マスクの様に嗅ぐことは初めての試みでしたが、
高貴な香木の薫りを味わうことが出来ました。 

白木蓮の花が好きな作者は蕾から、一つ咲き、
二つ咲いた花も満開の花も堪能し終えた後、
白木蓮の花弁を思わず手に取り顔にかざした
ものと思われます。

天を支えるように咲いている花弁の一つをそばに
置き愛で、匂いを楽しむ。私も新しい体験をさせて
頂きながら、白木蓮がとても身近な愛しい花と感じ
られております。  了。
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# by kodaira220 | 2017-03-31 21:46 | 俳句 | Comments(2)

俳句アラカルト

  

 俳句アラカルト
   清 水 弘 一


山椒の芽夭夭(ようよう)なるを毟(むし)りをり      窪寺寿美枝
 ー多摩のあけぼの30周年記念合同句集よりー


 
夭夭(ようよう)とは「詩経」に若々しくうつくしいさまとあり、
日本国語辞典には「夭夭(ようよう)」とは若々しく美しい様子、
みずみずしい様子、若い勢いが盛んに溢れでる様子とある。

 草木の芽の全てに共通であるが、とりわけ山椒の芽の芽吹き
の美しさは類(たぐい)まれである。その芽は鳥獣人を寄せ付けぬ
棘(いばら)に守られていることでも判(わか)る。 

一籠の山椒の芽を摘むと無数の棘(とげ)に両手の甲も指も
確かな洗礼(せんれい)を受けることとなる。しかるべき手順を
踏んだとしても被(こうむ)る代価であるが、その成果の大きさや
食する喜びを思えば嬉々として棘に甘んじる。 

新芽と一緒に花芽があり、この花芽を多めに毟(むし)ると緑に
黄みが加わり更なる魅力をおび、味は甘味と深みを生ずる。

山椒の実の成る種類には花芽が付かないので、雄木と雌木との
関係と思われるが、どちらの新芽もありがたく頂戴するので
忖度(そんたく)のいとまはない。

「有りがたく山椒の新芽ちょうだいす」の句意であるが、
そのままの表現では弱弱しい新芽であり、山椒の新芽の猛々しい
鮮烈な香りと美味しさが表現されない。 

新芽をつかんで引き抜くので、毟りとるの言葉が的確である。
新芽が日々成長する様子も、山椒の木の荒々しさ・棘とげしさ
も表現されている。

 作者は毎年春のひと時、山椒の芽をむしり取ることを習慣化
しているが、指に付いた棘の痕(あと)は勲章の様に誇らしく
感じている。山椒の芽の一摘まみに満足な笑みが透けて見える。 
       了。




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# by kodaira220 | 2017-03-28 09:39 | 俳句 | Comments(4)